村上春樹とワタシ
2005年 05月 07日
本を鞄にしのばせて、
街へ出掛けるだけで、
街の風景が変わって見えた本がある。
缶ビアのプルリングをあける仕草さえ、
どこか、異国情緒ある気分にさせてくれた。
フライドポテトの味も格別だった。
バーのカウンターに座りたい衝動にかられた。
ジャズを聴いた。
今まで読んだ、どの本とも違っていた。
だが、感動といった種類のものとも違っていた。
文体も今まで味わったことがないものだった。
舌で、ゆっくり言葉を転がしながら、
心へ運ぶような、そんな文体だった。
大げさかもしれないけど、
村上春樹の初期の作品「風の歌を聴け」
「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」は、
私にとって、ある時代にめぐり逢った大切な本だ。
そんな中で、今でも脳裏に残っている言葉がある。
「僕らは、この世界に慣れたけど、
けっして、馴染んではいなんだ」
ふと、ニュースを見ると、
未だに、ときどき、そんな言葉が蘇ったりする。
by papas8559
| 2005-05-07 22:23